
知らずに添加物を食べているかも?
無添加表示の落とし穴とキャリーオーバーの真実
スーパーで食品を選ぶとき、パッケージの「無添加」という言葉を見て、「これなら家族に食べさせても大丈夫」とカゴに入れていませんか?
実は、その「安心」には大きな落とし穴があります。
日本の食品表示法には、消費者がパッケージを見ただけでは気づけない「抜け道」が存在するからです。
- 「保存料不使用」と書いてあるのに、別の添加物がたっぷり……
- 表示には書かれていないのに、実は添加物が使われている……
これらは決して珍しいことではありません。特に注意したいのが、見えない添加物「キャリーオーバー」の存在です。
このページでは、食品表示の読み解き方と、メーカーが教えてくれない「隠れ添加物」の仕組みを、図表を交えてわかりやすく解説します。
1. 基礎知識:添加物の境界線「/(スラッシュ)」
日本の法律では、原材料と添加物を明確に分けることが義務付けられています。
一番簡単な見分け方は、原材料名の欄にある「/(スラッシュ)」を見つけることです。
| 表示の場所 | 書かれているもの | 具体例 |
|---|---|---|
| / の前 | 食材そのもの | 小麦粉、砂糖、卵、牛乳 など |
| / の後 | 食品添加物 | 調味料(アミノ酸等)、乳化剤、pH調整剤 など |
例:菓子パンの表示
原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂、卵、マーガリン/乳化剤、イーストフード、香料、着色料(カロテン)
この「/」より後ろにあるものは、すべて台所にはない「添加物」です。まずは、裏面を見てこの境界線を探す癖をつけましょう。
2. 「◯◯無添加」のトリックに騙されない
パッケージに大きく「無添加」と書いてあっても、それは「添加物が一切入っていない(完全無添加)」という意味ではありません。
多くの場合は「保存料は使っていないけれど、他は使っている」という限定的な意味です。
【よくある勘違いの例:市販のハム・ソーセージ】
| パッケージの表示 | 消費者のイメージ | 実際の裏側(よくあるケース) |
|---|---|---|
| 「保存料 無添加」 | 添加物は何も入っていない体に良い商品 | 保存料はゼロだが、発色剤や結着剤は使われている。 |
| 「化学調味料 無添加」 | 自然な味付け | 化学調味料の代わりに、「たんぱく加水分解物」(分類上は食品だが製造過程で薬剤を使用)が使われている。 |
このように、「何が入っていないか」ではなく、「裏面に何が書かれているか」を確認することが重要です。
3. 表示されない添加物「キャリーオーバー」の正体
さらに恐ろしいのが、「使われているのに表示しなくていい」という特例ルール、キャリーオーバーです。
キャリーオーバーとは、「原材料の加工段階で使われた添加物は、最終製品に効果が残っていなければ表示しなくてよい」という決まりのことです。
具体例:コンビニのサンドイッチとハム
例えば、コンビニのサンドイッチに使われる「ハム」で考えてみましょう。
- ハムを作る工場: 色を良くするために「発色剤」、形を保つために「結着剤」を使用します。
- サンドイッチ工場: そのハムを仕入れてパンに挟みます。この時、サンドイッチ工場自体は、新たに添加物を足していません。
- 私たちが買う時: サンドイッチの原材料名には「ハム」とだけ書かれます。ハムの中に含まれている添加物は書かれません。
【表示のからくり図解】
| 段階 | 添加物の使用 | 最終的な表示義務 |
|---|---|---|
| ① 原材料(ハム) | あり (発色剤・リン酸塩など) | 本来は表示が必要 |
| ② 最終製品 (サンドイッチ) | なし (挟んだだけ) | 「ハム」と書けばOK (中身の添加物は省略可) |
これがキャリーオーバーです。私たちは「無添加のサンドイッチ」だと思って食べていても、実際にはハムに含まれる添加物を間接的に食べていることになります。
4. もう一つの落とし穴「一括表示」
さらに、内容を複雑にしているのが「一括表示」です。
通常、物質名はすべて書く必要がありますが、同じ目的で使う添加物は、まとめて書いて良いことになっています。
- 「イーストフード」 → 実は10種類以上の化学物質の合成
- 「香料」 → 数百種類の合成香料の組み合わせ
- 「pH調整剤」 → 複数の酸性・アルカリ性物質の混合
「pH調整剤」とたった一言書かれているだけで、実際には数種類の添加物を摂取している可能性があります。
5. 賢い消費者が知っておくべき「選ぶ基準」
今日からできるチェックポイント
- 裏面の「/(スラッシュ)」以降を見る スラッシュ以降の記述が長いもの、カタカナや聞いたことのない化学物質名が並んでいるものは避ける。
- 「キャリーオーバー」を想像する 「醤油」「タレ」「ハム」など、それ自体が加工品である原材料が使われている場合、そこには見えない添加物が含まれている可能性を疑う。
- 加工度の低いものを選ぶ 「ハンバーグ」を買うより「ひき肉」を買う。「味付き肉」より「精肉」を買う。手間はかかりますが、素材に近いほどキャリーオーバーのリスクは減ります。
- 信頼できるメーカーを見つける ホームページなどで「全成分表示」を公開しているメーカーや、製造工程をオープンにしている生産者は、食の安全に対する意識が高い傾向にあります。
最後に:知識は家族を守る「盾」になる
「無添加」や「安心・安全」という言葉に安心してしまいがちですが、表示ルールのしくみや例外を知らなければ、見えない添加物を避けることはできません。
特にキャリーオーバーのような表示されない添加物の存在を知っておくことで、選ぶ目が変わります。
大切なのは、パッケージの言葉をうのみにせず、無添加表示とキャリーオーバーの意味を正しく理解して、自分と家族が食べるものを賢く選ぶこと。
知識は、あなたと家族の健康を守る武器になります。
